傷痕 【長文・グロ画像あり☐】

momozo

2014年10月05日 12:15

自分の右脚には大きな傷があります。
50針以上で縫合された傷は内腿から右外足側まで至り、壊死しかけた膝下は12cmほどの傷痕。
初めてこれを目にした人は必ずと言っていいほど驚かれます。

昨日、この傷痕が脚に刻まれてから4年の歳月が過ぎました。

いまだに毎日、大なり小なりの痛みがあります。 
チクチクと刺すような痛みの時もあれば、重苦しく痛む時もあったりして。
膝関節の大腿骨外足側が一部欠損しているので、動く際にかなりの痛みを伴う時もあります。
車と並走した瞬間に車線変更されて弾き飛ばされるという理不尽な事故被害なので、
モヤッとする時もありますが、バイク乗りだから仕方ないです。
バイクに乗ってれば誰にでも起こりうる事なので、運が悪かったと思うしかない。
それよりも通常ならば切断施術を受けるほどの重傷だったので、脚が残っていることに感謝しないと。

この事故についてはかなり前に綴りましたが、その際にバイクでの怪我の危険性について
少し触れたまま話を終わりにしていました。
今回はそのことを少し話したいと思います。




致命傷になるような外傷は別として、外傷で一番怖いのは何だと思います?
自分もこの怪我を負った時、膝が引き裂かれて関節が露出していたけど、
脚は普通に付いてたし、激痛は走るけど膝を動かせる感覚はあるし、
その先のつま先は動かせたので、外傷を治す手術や治療を受けるだけだと思ってました。
ところが搬送後の緊急手術の翌日、目が覚めたICUで担当医に言われた言葉は、

「右脚無くなるかもしれないから、覚悟しといて」 でした。

担当医は手術後の施術説明でも同じ事を嫁を含めた身内にも伝えていたそうです。
出来る限りの事はしましたが、あとはご本人の免疫力と回復力次第ですと。

手術は無事に済んだのに、何故脚がなくなるのか。 自分は不思議でなりませんでした。

続けて担当医の口から出た言葉が、

感染症って知ってる? 簡単に言えば、傷口から細菌が入ってしまうことなんだけどね。
感染症になったら手の施しようがないんだ。 何度手術してもまた発症してしまう。
細菌が広がる前にその箇所を切断しないと、患者の命に関わってしまうこともあるんだ。
今の医術なら、脚や腕はいくらでも付けることは出来るけど、感染症は別。
本当に感染症は怖いんだよ。
〇〇さんの場合、普段 袋状になっていて体液に満たされている関節を露出してしまったし、
しかも路上の土や砂、埃にまみれていた。 感染症に罹っている可能性はかなり高い。
大量の消毒液と精製水で消毒したけど、脚が残る確率は今は半々としか言えない…
数日経ったら包帯を外してみて、傷口がどうなってるかで判断するから。

ということでした。

そう、外傷を負った場合、一番怖いのは感染症なんだそうです。
特に骨を露出してしまったら、かなり危ないんですよ。
なので、ほら、手袋をしないでバイクに乗っていたり、踝が出るようなスニーカーで転倒して
足がバイクの間に挟まれて路上を滑ったら・・・
はたまた、Tシャツ姿で転んだら・・・
アスファルトがおろし金の代わりになって、生身の身体なんてひとたまりもないですよ。

付け加えると、関節の開放骨折は一番厄介らしいです。
体液に浸っていて外気に晒されることのない関節部分は、関節が露出して
大気に晒された時点から感染症までのカウントダウンが始まるらしい。
感染症を回避できる可能性のボーダーラインは2時間だそうです。
2時間を過ぎると一気に感染率が高くなるそうな。
自分が開放骨折をしてから救急搬送されるまで、1時間半の時間を費やしていましたが、
二箇所の病院に搬送を断られたあと、最後に決まった搬送先の病院が最新医療を備えた大学病院の
救急救命センターだったので、それも幸いしたんだと思います。運が良かったです。
ただ、搬送後の処置は凄まじいものでした。
とにかく急を要するということで、無麻酔のまま開いた膝に容赦なく消毒液をドボドボと・・・。
焼けるような激痛は、ストレッチに体を押さえつける二人の男性介護士を押し戻して上体を起してしまうほどでした。
 

そんなわけで、術後4日・・・5日後だったかな、初めて包帯を外して処置傷を確認した担当医の
よしっ!勝ったな!これなら切断せずに大丈夫だ!という言葉を聞いて、
体中の力が抜けた記憶があります。 
でも縫合された傷は紫色に変色し、化膿している箇所もあったので、
しばらくの間は半信半疑でしたけどね(笑
結局、その化膿部分は壊死し始めてしまい、今度は皮膚移植の段取りを取られたり・・・
外科の先生には、感染症でなければ皮膚移植なんて容易いものみたいです(笑
少し準備に時間かかるけど、手術自体は大したことないから。
皮膚はお尻から取ろうかな・・・って(笑

でも結果、感染症にならずに済み、皮膚移植もギリギリのところで回避できて、
三ヶ月の入院と一年半に及ぶリハビリを経た結果、
今でも自分の脚で歩けてバイクにも乗れているわけです。
担当医からは、あの怪我じゃほぼ絶望的だと思っていたからね~ほんと奇跡的だよ。
担ぎ込まれて一番最初に脚を見た時、どうすんだよコレって思っちゃったからさ。 
と、あとから聞かされましたけどね。
とにかく開放骨折では、先ず傷口の消毒が最重要だそうです。
綺麗な水で洗い流すだけでも、かなり効果があるそうですよ。
そんな知恵を実践する事が無いに越したことはありませんが、もしもの為に頭の片隅にでも
残して置いてください。

因みに、とある映画で傷口を焼いて殺菌止血をするあの有名なワンシーン。
あれはとんでもない愚行だそうですよ(笑



登山中滑落して開放骨折のまま13日間遭難した相部屋患者さんがソレをやったそうですが、
救助後、同じ担当医にとんでもなく怒られたって言ってました。
そう、バイクだけじゃなく、山登りでも開放骨折などによる感染症の可能性は大きいそうですよ。
最近では登山愛好者も増加傾向のようなので、登山やられる方は十分に気をつけてくださいね。

長文になってしまいましたが、最後に装備の話。

この事故時の服装は、ジェッペルに革手袋、半袖Tシャツの上に破けにくいジャケット、
下はデニムにブーツです。そう、皆さんが普通にツーリングされるような装備だったんですよ。
ジャケットは擦切れそうになっていましたが身体は無傷。手袋も同じように擦り切れてたけど無傷。
(前回の事故記事で最後の写真の手袋がそれです。 広範囲に赤黒いのは手ではなくて膝の血痕です。)

膝が酷かっただけに、搬送時に病院の皆に驚かれたくらい他は無傷だったんです。
その膝は、バイクが分離帯に引っ掛って身体が放り出された際に、ハンドルに付いていた
ボトルホルダーか、ハンドルバーエンド、ブレーキレバー
その辺のパーツに打ち付けたか、引っ掛けて引き裂かれたんだと思います。
普通考えられますか?そんな状況。 誰が其処まで考えてバイクに乗るかって話ですよね。

ある程度の要因があるにせよ、とどのつまりは運なんですよ。
そんな運の悪い状況に陥った時に自分の身体を守ってくれるのが装備なんです。
よく革パン履いてるから大丈夫と思ってる人がいますが、
このような状況では膝カップ入りじゃなければひとたまりもないですよ。
自分もレーサーレプリカ乗っていた昔は必ず履いていたんですよ。カップ入りの革パン。
なのに、今は履いていません。 今でも履いていればこんな酷い怪我は負わずに済んだ
でしょうね…。

要するに、装備は保険と一緒ってことです。
法令で定められた以上の装備をどこまでするかは本人の自由ですが、
自分のように必要性や重要性を身を以って感じたときには遅いってことですよ。
他人様の格好や装備に物申すつもりはサラサラありませんが、
意識改革のキッカケになってもらえれば嬉しいです。


ではでは



でも…

こんな大怪我しても変わらないことは…

バイクは危険な乗り物だけど、サイコーに気持ちイイ乗り物ってことかなー









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